沢木耕太郎『オリンピア ナチスの森で』

オリンピア ナチスの森で (集英社文庫)

オリンピア ナチスの森で (集英社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
1936年8月、ナチス政権下のベルリンで第11回オリンピックが開催された。ヒトラーが開会を宣言し、ナチスがその威信を賭けて演出した。その大会を撮影し、記録映画の傑作『オリンピア』二部作を生み出した天才レニ・リーフェンシュタール。著者は彼女にインタビューを試みる…。運命の大会に参加した日本選手団をはじめとする多くのアスリートたちの人生をたどる長編ノンフィクションの傑作。

記録映画、と書いてあるが、この本を読むとそれは作られた記録映画なのだと書いてある。
例えば、
棒高跳びの競技などは、金メダルが決定したのは夜だったので、監督のレニは後日を改めて、金メダルを争った日本(そう、当時の日本は100m、三段跳び棒高跳び等陸上王国だったのだ)とアメリカの選手を呼んで跳んで貰って、それを競技の映像と合せてたらしい。
だからといって、オリンピアという映画の価値は幾分とも下がることも無く、むしろ、其処までして完璧な映画を作ろうとしたレニの才能こそ褒められるべきなのであろう。
おれの好きなエピソードは、ヨットチームの話とかを収めた「素朴な参加者」という章。バスケにサッカー、ホッケーにヨットに体操と、団体競技の発展の礎を築いた人達の奮戦が描かれている。