安部公房『壁』

igadarui2010-10-09

壁 (新潮文庫)

壁 (新潮文庫)

安部公房芥川賞を取った作品。
『S・カルマ氏の犯罪』は、突然名前を無くした主人公が、名前を無くしたせいで裁判に引っ張り出されそうになるが、それを逃れるために世界の果てに行く、という小説。
自分が行くはずだった会社には名刺そのものがいるわ、自分の彼女はマネキンになるわ、服やメガネがゼネストするわという、戦後ちょっと経って発表された当時は画期的な小説。
安部公房を知った人は、「これは日本のカフカだ」というが、本人はカフカを意識したのではなく、『不思議の国のアリス』を意識したらしい。(by安部公房全集)