犬的人間

おれは犬的人間だと思う。本当にそう思う。
犬的人間とは、
例えば犬にボールを投げたら、犬はボールを加えて飼い主の下に一目散に戻り、
「へっへっへっ、どうですか、すごいですか、すごいですよね、ほめてくださいね、へっへっへっ」
といわんばかりの態度をとる。
おれもそう。
作業中でも他人の手伝いをしてしまう。一目散に、
その中の心理を取ってみたらまさに犬状態であったろう。
手伝わないからといって非難されたくない、
手伝わないからといって変な目で見られたくない、
そういう卑屈な防衛心理が犬的行動に走らせる。
そしてそんな自分が不愉快で仕様が無い。
ナンシー関が、『地獄に仏』で、犬的人間の事を、小学校の頃、先生がチョークを落としたら、決まってある子が一目散に拾って渡していた。と書いていてドキリとした。
そしてこういう犬的人間は決まって蔑まれる。舐められる。
どうして蔑まれるのか、
おそらく犬的人間は人に愉快さを与えないからであろう。
便利だけど不愉快。
まさにそれは便所掃除のブラシの如く。
ちなみにおれは猫派犬派でいうと犬派である。
しかしおれは犬にも吠えられる。舐められる。