遠藤周作『眠れぬ夜に読む本』

眠れぬ夜に読む本 (光文社文庫)

眠れぬ夜に読む本 (光文社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
人間の心の奥底は考えていた以上に深く、底知れず、混沌としていたことがわかり、またこの心の奥底と、いわゆる外見が荒唐無稽、非科学的に見えるものには密接な関係のあることを知った…。生命はどこから来たのか、難病に苦しむ人へ、人間は死んだらどうなるか、など人類普遍のテーマに興味深く平易に迫る名エッセイ。

遠藤周作のエッセイといえば、狐狸庵物か、ぐうたら物と相場が決まっているが、このエッセイはそれとは一線を画すもの。
著者は、このエッセイはこれといったテーマは決めずに書いたとあとがきで述べているが、しかしこれにはある考えが根底に書かれている。
それは人の無意識である、
遠藤氏は、ふと頭に浮かんだ数字で馬券を買ったら当たった、とかずっと心に強く願っていたことが現実化した、とか、リウマチや肝炎といった難病の治療方法を偶然見つけた医師の話などを挙げ、人の無意識の不思議さを述べている。
誰しも味わったことのある偶発的出来事は、そうそう馬鹿に出来るものではないぞと。