筒井康隆『笑犬樓よりの眺望』

笑犬樓よりの眺望

笑犬樓よりの眺望

内容(「BOOK」データベースより)
芸能レポーター、写真週刊誌、腐れ批評家、喫煙者差別に表現規制。いじめにリクルートに文芸衰退。笑犬楼より見渡せば、世の中、虫酸の走ることばかり。天皇崩御湾岸戦争、バブルの崩壊、世相は動く。時代の叡知、天才筒井も動く、文芸家協会怒りの脱退、驚天動地の断筆宣言!世間の欺瞞をまとめて串刺し。断筆宣言に至る10年間の孤独で真摯な闘いの記録101本。

筒井康隆が『噂の真相』に10年近く連載していたエッセイを纏めたもの。しかしそんじゃそこらの身辺雑記を描いたエッセイと思う無かれ、上記の内容にも挙げられている通り、世の中の虫酸の走ることに噛み付いて噛み付いて噛み付く。
芸能レポーターの非常識に噛み付き、
嫌煙権運動に噛み付き、
行き過ぎたフェミニズム運動に噛み付き、
見当違いの評論をした評論家に噛み付き、
最後に用語の自主規制に噛み付き断筆した。
筒井康隆の小説は好きだけど、エッセイはちょっとなぁ、という人、小説は好きだけと作家の身辺には興味ないっすという人にもこれは薦められるエッセイです。
1980年代中ごろから90年代中ごろの筒井康隆を知りたいならばこれ一冊でもいい位。
ちなみに、
断筆宣言を撤回し、新たに『噂の真相』で連載を再開した、『笑犬樓の逆襲』は、歳を経って丸くなったのかまさに身辺雑記と化しているので買うのは止した方がいい。

笑犬樓の逆襲 (新潮文庫)

笑犬樓の逆襲 (新潮文庫)