開高健『All My Tomorrows Ⅰ』

高健が書いたエッセイを森羅万象纏めたもの。
初期の、芥川賞を取る前当たりからエッセイを書かれており、
本書では、中国に呼ばれて出向き、氏の言葉を借りれば「歌う」ようになるあたりまでを書いている。
後半に、日中戦争を潜り抜けてきた中国の作家達と乾杯乾杯と、飲めや歌えの宴会騒ぎをやった模様が書いているが、その頃中国は大飢饉の途中であり、宴会場の外には沢山の民衆が残飯が出るのを期待して外で待っていたという事実が後に明らかにされ、開高氏はショックを受けた、と菊谷氏の書籍から明らかになる。
その点を含めて読むと、なんとも複雑な気分になる。
でも後の世だからこそ言えることであり、当時の同じ場面におかれたらやはり気付けなかったと思う。